top of page
検索
執筆者の写真Napple

初めてのKT88

2018年5月9日


TRIODEオリジナルのEL34からJJ ElectronicのKT88へ差し替えた。球転がしである。KT88はマッキントッシュMC275でも使用されている球である。回路構成が全く違うが、私としてはマッキントッシュに一歩近づいた気分だ。さて、EL34からKT88に変わったTRK-3488はどんな音を聞かせてくれるのだろう。


JJElectronicのKT88を差したTRK-3488

差し替え前のTRIODEオリジナルのEL34を差したTRK-3488


目的:EL34KT88の聴き比べ。どのような音質の変化があるかを確認すること。

方法:TRIODEオリジナルのEL34からJJElectronicのKT88へ差し替え、NFB-ON/OFFの両方で聴き比べ、EL34との印象の違いを確認する。


1曲目:キース・ジャレット:ケルン・コンサート

KT88/NFB-OFF:少しザラつきを感じる

KT88/NFB-ON:ざらつきが収まりクリアーな音に

EL34/NFB-OFF


2曲目:ビートルズ:イエスタデイ

KT88/NFB-OFF:美音、クリアーな感じがする

KT88/NFB-ON:さらに美しく

EL34/NFB-OFF


3曲目:テイラー・スイフト:Shake It Off

KT88/NFB-OFF:あまり違いがわからん

KT88/NFB-ON:少しパンチが減った感じ

EL34/NFB-OFF


4曲目:スイス・ロマンド管弦楽団 & エルネスト・アンセルメ:牧神の午後への前奏曲

KT88/NFB-OFF:残留ノイズが気になる

KT88/NFB-ON:少し聴きやすくなった

EL34/NFB-OFF


5曲目:パヴェル・ハス・カルテット:ドヴォルザークのアメリカ

KT88/NFB-OFF:なんか力強い感じがする

KT88/NFB-ON:少し弱まるかな

EL34/NFB-OFF


6曲目:ジョン・コルトレーン:ブルー・トレイン

KT88/NFB-OFF:ドンシャリ感が増した

KT88/NFB-ON:いい感じ

EL34/NFB-OFF


7曲目:ジーン・マックフォルツ:I Can't Get Started

KT88/NFB-OFF:息遣いがより鮮明に聞こえる

KT88/NFB-ON:聴き心地が増した

EL34/NFB-OFF


8曲目:サイモンとガーファンクル:アンジー

KT88/NFB-OFF:あまり違いを感じない

KT88/NFB-ON:音がくっきりした感じ

EL34/NFB-OFF


9曲目:マイルス・デイビス:Générique (Du film « Ascenseur pour L'echafaud »)

KT88/NFB-OFF:闇が深まった感じ

KT88/NFB-ON:あまり差を感じない

EL34/NFB-OFF


結論

EL34KT88を聴き比べた結果。気分としてKT88の方がドンシャリ感がある。周波数特性を比べると、EL34に対してKT88はどの曲も20kHz以上の音が出ているようだ。メリハリがついたドンシャリとして感じているのかもしれない。ただ、あくまでも気分であって、これは違うというほどではない。ハイレゾの試聴同様、ブラインドで聞かされた時にどちらだと答えることは難しい。NFBはONの方が聴きやすい。OFFにすると歪むのかもしれない。音量は上がるけれど、角がある音になるのだ、伊達に帰還をしているわけではないようだ。総じてKT88のNFB-ONが聴き心地が良い。


雑感

  • 真空管を差し替えて初めて電源をオンにするときは緊張した。無事に音が出てホッとする。かつて仕事で回路を設計・製作した時も、初めて電源を入れるときはドキドキしたものだった。ホワット煙が立った時の幻滅感。無事に作動した時の安堵感。懐かしい感覚が蘇る。

  • 残留ノイズはソースに記録されているノイズだ。手頃な音量で聞けば目立たないが、大音量で聴くと、ノイズの多いソースは、ことさらノイズが目立ってしまう。KT88で聴き比べて、そこらへんのことを感じた。

  • 12AX7(ECC83)の交換による劇的な音の変化は期待できないこともあり、交換用として温存し、交換時の楽しみにとっておくことにする。

  • 気になっていた真空管の空気の抜き方を調べた。真空ポンプで吸引するとともに、ゲッターと呼ばれる処理を施すことで真空度をあげている。真空管に銀色の部分がある。これがゲッターで、管内に残留する酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素などを吸着しているのである。


追記

TRIODEに使用しているトランスを質問し。今回のKT88での感想などを送った。

TRIODEから返ってきた返事。

「トランスはEIコア型の出力トランスです。この価格帯のキット製品ですので、特殊なコア材質や線材のものではなく、 通常の出力トランスです。KT88は低域寄り、EL34は高域寄りに特徴があります。NFBは多極管については、歪率の面でも必要不可欠かと思います。本機は3dB程度と軽くかけてあります。TRK-3488については、帯域を欲張らず、聴きやすい音質が特徴です。」

自分の感じ方は間違っているのかと自信をなくす。ここまで自信満々に書き綴ってきた事も・・・。


閲覧数:2,390回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page