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石油ストーブの匂い

  • 執筆者の写真: Napple
    Napple
  • 10 時間前
  • 読了時間: 1分

2025/4/25



 今ではもう使わなくなった石油ストーブ。その匂いは、もう戻ってこない時代の匂いのようだ。


 火をつけたとき、消したときに立ちのぼる、あの独特の臭み。灯油そのものの匂い。不完全燃焼の匂い。決して「良い匂い」ではないはずなのに、なぜか懐かしい。


 外から帰って灯りをつけ、まずストーブに火を入れる。「さあ、これから温めるよ」というように、ストーブは匂いと音で答えてくれた。ジンジンと温まりはじめる頃には、匂いは気にならなくなる。気になるとすれば、燃料が切れかけていたり、芯に問題があったりする時だけだ。


 眠る前、火を落とした瞬間に立つ強い匂い。その匂いに、「そろそろ芯を削る時期かもしれないな」などと思ったものだった。

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