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時間の正体

  • 執筆者の写真: Napple
    Napple
  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

更新日:5 日前

2025/3/29



 喫茶店「1.9Lの魔法びん」は、毎日が静かに過ぎていく。時計の秒針は「カチッ、カチッ」と進んでいるけれど、店内にいる誰もが、時間が流れていることを気にしていない。


 その日も少年は店の隅に座って、ぼんやりと珈琲を飲んでいた。時計の針を見つめていると、ふとワーランブールが振り返り。


「君は、時間が流れてるって思ってるのか?」

と静かに話しかけてきた。少年は驚いて目を丸くした。


「え? もちろん、時間は流れてるじゃないですか。時計も動いてるし、昼も夜も来るし。」

「それは君の思い込みだ。」彼はそう言うと、ゆっくりと時計を指さした。

「この時計は、ただ『数字が変わっている』だけだ。実際に時間が流れているわけじゃない。」


少年は目を見開いた。「どういうこと?」


「時間とは、ただの考え方だ。」彼は静かに話し続けた。「例えば、君がカップの中の珈琲をかき混ぜるとする。最初は渦ができるだろう。その渦はやがてゆっくりと消える。でも、逆にその渦が自然にできることはないだろう?」


少年はうなずいた。「うん、でもそれはただの物理的な現象だよね?」


「そうだ。」彼は一瞬黙った後、続けた。「時間も同じだ。過去から未来へ進むように感じるけれど、実際には『戻ることがない』から僕たちは『時間が流れている』と思ってしまう。でも実際、時間というのはただの思い込みに過ぎない。」


 少年は考え込んだ。時計の針は確かに進んでいる。でも、それはあくまで数字が変わっているだけだ。本当に時間が流れているわけじゃないのだろうか?


「じゃあ、僕はどうすればいい?」少年が尋ねた。


 ワーランブールは少し笑った。「君が感じる『時間』を、もう一度見つめ直してごらん。時計の針が進んでいるように見えても、君の心がどこに向かっているのか、それが本当の時間だ。」


 少年は静かに目を閉じ、時計の針が進んでいくのを感じながら、今、ここにいる自分を感じていた。時間が流れているのではなく、ただ自分が今、ここにいることが大切なのだと気づいた。


 それが、この喫茶店で見つけた、時間の本当の意味だった。



「時間の正体」了

 

あとがき


 「時間は本当に流れているのか」という、「時間の正体」について考えたことから生まれた物語。時間の流れは、物理学的には厳密に定義されているものではなく、むしろ主観やエントロピーの増大という物理的制約によって生じているように見える現象だという。これは、量子力学や相対性理論とも関連しており、「時間の正体とは何か?」という問題は今も解明されていない。かつて少年ドラマシリーズ「タイム・トラベラー」を初めてみた時、ケンソゴルが「エントロピーがどうしたこうした」と言ったのを思い出す。

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