top of page

壊れそうで壊れないもの

  • 執筆者の写真: Napple
    Napple
  • 2024年12月17日
  • 読了時間: 2分

2024/12/17

 幼少期の記憶を遡りながら、気づかなかった過去の一面に出会った。極初期の記憶に鉄道の軌道に強く引き寄せられた感覚があった。どこか壊れそうで、でも壊れない強さを持つ存在を象徴しているような感覚。それは曲がりくねりながら進む軌道の力強さ。あるいは高速で走る列車の安定感と浮遊感。そして何より線路の不思議さだ。


「線路は遠くへ行くほど一点に集まる。つまりこう言うことだ――目の前ではレールは2本に分かれているけれど、先に行けば行くほど近づいて、ついには一つに見える。でも、どこまで行ってもくっついたりはしない。左右に分かれたままなんだ。当たり前だって? でも考えてみてほしい。目に見えるものは、当たり前じゃないことばかりじゃないか。目の前の現実と、見える姿は、時に食い違っている。」


 この線路の視点は、記憶にも重なる――幼い頃の確かな感情と、曖昧な映像。その矛盾と重なりに魅せられ、「壊れそうで壊れないもの」への思いが深まる。


 遠くで軌道は一つになるように見える。それはまるで、記憶の先にある「もう一人の自分」の姿だ。しかし、近づいていけば、それは左右に分かれたまま変わらない。当たり前のようで、どこか奇妙な現実。そこにこそ、時間と空間を超えて存在する「不思議な存在感」があるのだ。


 森に飲まれる建物や草に覆われた単線、波打つレールの軌道。そして、ふっくらとした女性の姿、寡黙な男の耐えるような佇まい、ドキドキしながら触れた動物との接触に感じた安心感、そこにはもっと深い繋がりがあったような。――それらすべてが、「壊れそうで壊れない世界」を支えていた。


「壊れそうで壊れない。でも簡単に壊れないことに、人は気づかない。」

再び線路を見つめる。遠くで一つになる軌道の先を。 


 

あとがき


 これはどこまで記憶を遡ることができるか試行錯誤したことから生まれた物語。

Comments


bottom of page