2024/12/19
音楽が宿るところ:リスニングルーム――響きが甘く、微睡みの果てに。
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リスニングルーム、そこは音が形を持ち始めた部屋。
詩のような静寂に包まれ、言葉では届かぬ「耳の夢」をかなえる場所。
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一枚の絵――構想のはじまり
描かれたのは、音の居場所。
木の温もりを纏った壁、柔らかな光を抱くランプ。
スピーカーは静かに佇み、音を待つ――
レコード針が落ちる瞬間の「呼吸」のために。
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その絵は単なるデザインではない。
音の波を具現化し、空気に色をつける試みだ。
高校生の頃、あるいは下宿の夜、
理想の音場を夢見て、目を閉じては描いた光景。
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空間の物語――解説と詩
一隅には古びた椅子。誰も座らずとも、時間が座っている。
その向こうには棚がひとつ――
そこに並ぶのは、音を連れてくる名もなきレコードたち。
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「音があるだけでいい」と言わんばかりの、
質素な佇まいに潜む、途方もない美意識。
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
高く、もっと高く。
大地から細く伸びる「樹の塔」の上に、
小さな部屋がひとつ浮かんでいる。
聴き手はたったひとり、
風の声を聴き、雲の囁きを拾う。
絡まる配線、歪むスピーカー――
けれど音は、まっすぐに空を目指す。
「音とは、見えない翼だ」
鳥のように飛べない僕たちが、
音楽を手にした日から、
この塔は築かれた。
樹皮の階段を登るたび、
音楽は耳から心へ、心から空へと登っていく。
積まれたスピーカー、古い装置、回るレコード――
それらはすべて、無骨な翼だ。
空を聴く者の孤高のリスニングルーム
「YUKI」「THE BIRDMAN」――
彼らは誰だろう。
夢見る者たち、音を繋ぐ者たちか。
聴くために、僕たちは浮かぶ。
リスニングルームは、
かつて部屋だったものを超えて、
塔となり、翼となり、
空そのものになる。
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裂けた大地、沈黙の岸辺。
それはかつて音で満たされた場所。
座る者は一人、
流木の椅子に凭れながら、
沈みゆく音を聴く。
遥か遠く、水平線を叩く波音。
水面から跳ねる巨大な鍵盤は、
海の底で忘れられた音楽を奏でる。
海鳴りが奏でる交響曲――
静かでいて、重く、深い。
洞窟の天井から吊るされた、鉄の音響装置。
古びたスピーカーが、
今も残響を送り続ける。
かつて声を届けた者たちは、
何を求めてこの場所に音を残したのだろう。
裂けた道は楽譜のように、
縦横無尽に引かれている。
誰もが歩くことをやめたその道の上で、
聴き手は静かに耳を澄ませる。
「音は、海を渡り、戻ることを知らない。」
永遠に続く水の揺らぎ、
それを聴くためにここへ辿り着く者がいる。
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憧れの伝助と集音マイク
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初めての一人暮らし
下宿にある音の出るものは
トランジスタラジオとギターだった。
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下宿の三年後、部屋は少し変わる。
レコードは増え、椅子には皺が生まれた。
壁にかけた絵は、その頃の「夢の部屋」。
いま聞いている音が、その時の記憶を揺り起こす――
ひとつの部屋で、時間と音が交差するのだ。
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リスニングルームとは「心の耳」の部屋。
音楽を聴くことは、過去と未来を同時に聴くこと。
そして、その夢の形を描いたあなたの絵もまた、
ひとつの詩なのだ。
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「音は見えない。だからこそ、描ける。」
「音楽」完
あとがき
音楽は生活に欠かせない。どんな空間で音楽を楽しむことができるか。昔から妄想した世界がリスニングルームという絵になった。
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