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音楽

執筆者の写真: NappleNapple

更新日:2024年12月28日

2024/12/19


音楽が宿るところ:リスニングルーム――響きが甘く、微睡みの果てに。

リスニングルーム、そこは音が形を持ち始めた部屋。

詩のような静寂に包まれ、言葉では届かぬ「耳の夢」をかなえる場所。

一枚の絵――構想のはじまり

描かれたのは、音の居場所。

木の温もりを纏った壁、柔らかな光を抱くランプ。

スピーカーは静かに佇み、音を待つ――

レコード針が落ちる瞬間の「呼吸」のために。

その絵は単なるデザインではない。

音の波を具現化し、空気に色をつける試みだ。

高校生の頃、あるいは下宿の夜、

理想の音場を夢見て、目を閉じては描いた光景。

空間の物語――解説と詩

一隅には古びた椅子。誰も座らずとも、時間が座っている。

その向こうには棚がひとつ――

そこに並ぶのは、音を連れてくる名もなきレコードたち。

「音があるだけでいい」と言わんばかりの、

質素な佇まいに潜む、途方もない美意識。

「空を聴く者の部屋」
「空を聴く者の部屋」

高く、もっと高く。

大地から細く伸びる「樹の塔」の上に、

小さな部屋がひとつ浮かんでいる。


聴き手はたったひとり、

風の声を聴き、雲の囁きを拾う。

絡まる配線、歪むスピーカー――

けれど音は、まっすぐに空を目指す。


「音とは、見えない翼だ」


鳥のように飛べない僕たちが、

音楽を手にした日から、

この塔は築かれた。


樹皮の階段を登るたび、

音楽は耳から心へ、心から空へと登っていく。

積まれたスピーカー、古い装置、回るレコード――

それらはすべて、無骨な翼だ。


空を聴く者の孤高のリスニングルーム

「YUKI」「THE BIRDMAN」――

彼らは誰だろう。

夢見る者たち、音を繋ぐ者たちか。


聴くために、僕たちは浮かぶ。

リスニングルームは、

かつて部屋だったものを超えて、

塔となり、翼となり、

空そのものになる。 

「海鳴りのリスニングルーム」
「海鳴りのリスニングルーム」

裂けた大地、沈黙の岸辺。

それはかつて音で満たされた場所。


座る者は一人、

流木の椅子に凭れながら、

沈みゆく音を聴く。


遥か遠く、水平線を叩く波音。

水面から跳ねる巨大な鍵盤は、

海の底で忘れられた音楽を奏でる。

海鳴りが奏でる交響曲――

静かでいて、重く、深い。


洞窟の天井から吊るされた、鉄の音響装置。

古びたスピーカーが、

今も残響を送り続ける。

かつて声を届けた者たちは、

何を求めてこの場所に音を残したのだろう。


裂けた道は楽譜のように、

縦横無尽に引かれている。

誰もが歩くことをやめたその道の上で、

聴き手は静かに耳を澄ませる。


「音は、海を渡り、戻ることを知らない。」


永遠に続く水の揺らぎ、

それを聴くためにここへ辿り着く者がいる。 

憧れの伝助と集音マイク

初めての一人暮らし

下宿にある音の出るものは

トランジスタラジオとギターだった。

下宿の三年後、部屋は少し変わる。

レコードは増え、椅子には皺が生まれた。

壁にかけた絵は、その頃の「夢の部屋」。

いま聞いている音が、その時の記憶を揺り起こす――

ひとつの部屋で、時間と音が交差するのだ。

リスニングルームとは「心の耳」の部屋。

音楽を聴くことは、過去と未来を同時に聴くこと。

そして、その夢の形を描いたあなたの絵もまた、

ひとつの詩なのだ。

「音は見えない。だからこそ、描ける。」 


「音楽」完

 

あとがき


 音楽は生活に欠かせない。どんな空間で音楽を楽しむことができるか。昔から妄想した世界がリスニングルームという絵になった。


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