2024/12/7
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学生時代に結成した「放浪社」という秘密結社の会報誌をひっぱりだした。あの頃描いた理想が、変色した紙にそのまま残っている。こんなことが書かれていた。
僕たちもいつか結婚をして子供ができて、いつの間にか歳をとり、生活するための生活を送るようになるのだろうか。車を持ち、家を持ち、暖かな家庭を作り満足してしまうのだろうか。もちろんそういう生活ができるようになるだけでも大変だろうけど。それだけで満足なんかしたくない。遊ぶために一生懸命仕事をする。そんなことも必要だと思う。そしていつかクルーザーを手に入れて大海原の風を受けて秀逸な時を過ごすとか、リッチなことをしてみたい。あるいはどこかの避暑地にログキャビンを建ててみたい。そんな夢をいつまでも抱いていたい。
そこに書かれていたことのいくつかを実現し、いくつかは実現できなかった。むしろ実現できたことが驚きかもしれないし、当時当たり前に思っていた結婚して子供を持つという未来はやってこなかった。半世紀近い時の流れの中で起きた悲喜交々のことが走馬灯のように蘇り、若き頃の青臭いほどの想いが蘇る。
そして、ウロボロス。私は今、その循環の中にいるのだと感じる。ウロボロスが尾を食い尽くしながら永遠に回り続けるように、私の人生もまたその繰り返しの中にある。過去に掴んだものを一度食べ尽くし、新たなものを求めて進んでいく。その循環こそが、私そのものなのだ。そして、再び夢を追い求めている。それはただの過去の夢の再現ではなく、あの頃の理想を今の自分に合わせて形にしようとしている。
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