2024/12/15
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物語を紡ぐ上で、すでに紡いだ物語と、これから紡ぐ物語に、かすかな繋がりがあるとおもしろい。その方法は別の物語に同じアイテムや、同じ名前の登場人物が登場することだ。いくつか物語を紡いで、すでにそんな感じになってきた。そこで、ちょっと振り返って整理をしよう。
共通のアイテムや設定
1.喫茶店「1.9ℓの魔法びん」
三角屋根、鎧戸のアーチ窓、白熱電球、柱時計、ドライフラワー、洋酒瓶、灰皿……時が止まったような喫茶店。
物語の舞台としても、登場人物同士の出会いや別れ、重要な会話が交わされる場所として登場。
「1.9ℓの魔法びん」という喫茶店名が既に複数の物語に登場している。
2.魔法瓶(瓶)
喫茶店の名前とリンクするように、時折、実際の「瓶」も登場する。
特に象徴的な場面や大切な会話の小道具として使われることが多い。
3.モシカモシカ
鴨の頭に鹿の角を持つ架空の動物。
物語のシンボルや象徴として描かれ、ある時は登場人物を導き、ある時は不思議な「謎」として存在感を放つ。
別の物語でも語り草として登場することがある。
4.ワーランブール
古の知恵を秘めた場所、あるいは謎めいた人物として描かれる。
物語によってその形を変え、まるで「次元」や「時間」を越えて存在しているかのように現れる。
5.「無口な男」と「怪人案単多裸亜」
無口な男:語らない中に秘められた意味があり、決定的な局面でだけ言葉を発する。
怪人案単多裸亜:不思議な言動で場を攪乱し、真実を浮かび上がらせる観察者。
別の物語でも、この二人はまるで「同一人物」であるかのように登場するが、明確には語られない。
共通する登場人物の名前
彩音(あやね)、陽翔(はると)、花乃(はなの)、蒼真(そうま)、凪紗(なぎさ)、悠生(ゆうき)、葉月(はづき)、律人(りつと)、春菜(はるな) などの名前が複数の物語に登場している。
名前だけが共通し、キャラクターの背景や役割が異なることで「並行世界」や「別次元の存在」のように感じられる。
繋がりを示唆する要素
1.次元蟲・時空蟲
現実の未解明の自然現象(例:ダークマター、ニュートリノ質量、乱流など)を背景に、物語の「謎」として登場。
これが時間や空間を超える要素となり、別の物語で示唆される場合がある。
2.科学へのアンチテーゼ
科学的に証明できない出来事や現象が繰り返し登場し、それが物語を繋ぐ「見えざる糸」の役割を果たす。
3.「旅」や「門をくぐる」の否定
単純な旅や次の世界への移動ではなく、日常の「裂け目」に現れる出来事として物語が進行する。
繋がりがありつつも、その全貌は見えない形で示される。
こうして見ると、すでに「喫茶店1.9ℓの魔法びん」や「モシカモシカ」、共通の登場人物の名前が繰り返し登場していることで、個別の物語がかすかに繋がり始めている。
追記
物語を紡ぎ始めた頃、登場人物の名前には実在の友人たちのものを借りることが多かった。しかし、もし失礼なことを描いてしまったら申し訳ない。そう思うと次第に架空の名前に置き換えるようになった。
AIと共同作業をするようになると、当初AIは毎回違う名前を提案してきた。それを推敲の過程で同じ名前に訂正するのだが、後から書き換える作業は意外に煩雑だ。見落としが生じたり、登場人物同士の関係が曖昧になったりする。名前が重なったり、時には途中で人格が変わってしまうこともあった。
それもAIが過去の会話を継承できるようになって、ようやく物語を紡ぐ環境が整ってきた感がある。
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