2024/12/19
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丸太小屋、それは憧れから始まり、生きる場所を形にする所に変わっていった。木の香り、陽の光、季節ごとの風の音。思い描いた理想はいつしか現実の中に根を張り、暮らしを包み込む、こうして魔法はかけられた。
はじまりの温もり
10代に出会った白木の家具。ウォールシェルフ、ディレクターチェア、折りたたみ式のテーブル。幼いながらも、木の持つ温かさに心惹かれていた。何十年と寄り添い続けたその家具は、未来の暮らしの予感を静かに囁いていたのだろう。
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「平凡パンチ 1976 WINTER Men’s Catalog」の1ページに、丸太小屋の記事をみつけた。胸の奥がざわついた。「こんな家に住みたい」と思ったのは、夢ではなく、いつか叶えるべき約束になった。
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こんな家を建てようと思った
窓――ただ光を取り込むものではない。そこには四季が映り、風景が語りかける。大きな窓、出窓、ドーマー、天窓。家を建てるなら、窓の向こうが広がる家がいい。
家の外にはデッキが広がり、朝霧、夕焼けが手を伸ばす。木々の息吹を感じながら、住む人の心もまた、自然へと還っていく。
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そして、小さな家。大きすぎず、けれど無限の広がりを持つ家。木の香りが満ちた、明るく住みやすい家。どこにいても心地よく、どこにいても「ただいま」と言える場所。
魔法をかけるように
外観は山小屋のように、森の一部のように。ドアを開ければ、そこには喫茶店のぬくもり。本棚が並び、まるで本屋のようで、道具が揃う小さな工房。書斎で本を読み、アトリエで手を動かし、リスニングルームで音楽に包まれる。夜になれば映画館に姿を変え、語らいの場はカジノのテーブルにさえなる。
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住むほどに色を変え、形を変え、住む人の手で育っていく家。魔法のようなその空間は、時に遊び場になり、時に研究室になる。
暮らしが家を仕上げていく
木は人と共に呼吸し、年輪を重ねる。住まいもまた、時の流れと共に我が家になる。
丸太小屋を建てたこと――それは夢を叶えることではなく、夢を日々の現実に変え、愛着という形で刻み込むことに他ならない。
そして今日も窓の外には、変わらない風景があり、変わりゆく季節がある。暮らしながら、想像し続ける。「次はこの部屋をどうしようか」と。
まだ完成しない。魔法のように育ち続ける――それが、我が丸太小屋。
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