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丸太小屋

執筆者の写真: NappleNapple

更新日:1月31日

2024/12/19

 丸太小屋、それは憧れから始まり、生きる場所を形にする所に変わっていった。木の香り、陽の光、季節ごとの風の音。思い描いた理想はいつしか現実の中に根を張り、暮らしを包み込む、こうして魔法はかけられた。


 

はじまりの温もり


 10代に出会った白木の家具。ウォールシェルフ、ディレクターチェア、折りたたみ式のテーブル。幼いながらも、木の持つ温かさに心惹かれていた。何十年と寄り添い続けたその家具は、未来の暮らしの予感を静かに囁いていたのだろう。

「平凡パンチ 1976 WINTER Men’s Catalog」の1ページに、丸太小屋の記事をみつけた。胸の奥がざわついた。「こんな家に住みたい」と思ったのは、夢ではなく、いつか叶えるべき約束になった。


 

こんな家を建てようと思った


 窓――ただ光を取り込むものではない。そこには四季が映り、風景が語りかける。大きな窓、出窓、ドーマー、天窓。家を建てるなら、窓の向こうが広がる家がいい。


 家の外にはデッキが広がり、朝霧、夕焼けが手を伸ばす。木々の息吹を感じながら、住む人の心もまた、自然へと還っていく。

 そして、小さな家。大きすぎず、けれど無限の広がりを持つ家。木の香りが満ちた、明るく住みやすい家。どこにいても心地よく、どこにいても「ただいま」と言える場所。


 

魔法をかけるように


 外観は山小屋のように、森の一部のように。ドアを開ければ、そこには喫茶店のぬくもり。本棚が並び、まるで本屋のようで、道具が揃う小さな工房。書斎で本を読み、アトリエで手を動かし、リスニングルームで音楽に包まれる。夜になれば映画館に姿を変え、語らいの場はカジノのテーブルにさえなる。

 住むほどに色を変え、形を変え、住む人の手で育っていく家。魔法のようなその空間は、時に遊び場になり、時に研究室になる。


 

暮らしが家を仕上げていく


 木は人と共に呼吸し、年輪を重ねる。住まいもまた、時の流れと共に我が家になる。


 丸太小屋を建てたこと――それは夢を叶えることではなく、夢を日々の現実に変え、愛着という形で刻み込むことに他ならない。


 そして今日も窓の外には、変わらない風景があり、変わりゆく季節がある。暮らしながら、想像し続ける。「次はこの部屋をどうしようか」と。


 まだ完成しない。魔法のように育ち続ける――それが、我が丸太小屋。


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