男と女
- Napple
- 2024年12月25日
- 読了時間: 2分
2024/12/25

陽翔(はると)は、ある日、喫茶店「1.9Lの魔法びん」で葉月(はづき)と出会う。葉月は、物静かにコーヒーを飲んでいた。会話のきっかけは些細なものだったが、彼女の言葉は陽翔の心に深く残った。
「男と女の違いは一つだけ。」葉月はそう言った。「それは『与える者』と『受け取る者』の関係なの。」
陽翔はその言葉に驚き、そして戸惑った。「与えることと求めることは相反するようで、実は同じものだと僕は思っている。」陽翔は自分の考えを口にした。「求めているから与えるし、求めているものを得ようとして与え続ける。でも、得られないと感じた瞬間、お互いへの想いに疑問を持ってしまう。」
葉月は微笑んだ。「私は与えることで心を守ってきたの。」その言葉に陽翔は息を呑んだ。葉月の瞳の奥に見える孤独と強さに、彼は自分を重ねた。二人はそれぞれの過去を語り合い、互いの傷をそっと撫で合うように心を通わせていった。
しかし、葉月の「与える」という姿勢には、どこか埋められない欠落があるように思えた。陽翔はその欠落に気づきながらも、どうすることもできなかった。
ある夜、葉月はぽつりとつぶやいた。「私、いつも与えることでしか人と繋がれないの。だから、受け取ることが怖いのかもしれない。」二人は互いに求め合いながらも、思い合うほどにすれ違いは深まった。
陽翔は葉月の心を理解しようとし、葉月は陽翔に与え続けようとした。そんな関係に疲れを感じた二人は、やがて別々の道を歩み始める。
それから数年の時が流れた。陽翔は新しい仕事に打ち込み、葉月は遠く離れた街で自分を見つめ直していた。そんなある日、陽翔は、葉月からの便りを受け取る。そこには庭に咲く花の写真と短い言葉が添えられていた。
「与えるものでも受け取るものでもなく、ただここにいるということを知りました。」陽翔はその一言に深く心を動かされる。そして、再び葉月に会うために、彼は「1.9Lの魔法びん」へと向かう。
再会した二人は、ただそこにいる関係を少しずつ築き始める。
あとがき
これは物語の断片であり、ひょっとするとすべてかもしれない。子供のころは、男も女も同じものだと思っていた。青年になると、そんなことは考えもせず、ただ異性のことばかりを気にするようになった。そしてようやく大人になったとき、男と女は違うものだと実感する。肉体の違いは言うまでもなく、心のありようもずいぶん異なるように思える。ところが、どう違うのかはうまく言葉にできない。ただ違うと感じるばかりで、その違いの正体はつかめないのだ。そういう男と女を描いてみたいと思った。
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