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交響詩篇1.9Lの魔法びん 第三楽章
2025/6/3 第三楽章:陽翔の旋律 カップの縁に口をつけることなく、陽翔(はると)は珈琲の香りを鼻先で受け止めた。昼下がりの「1.9Lの魔法びん」は、誰かが残したページの音でほんのわずかに揺れていた。彩音が読んでいた“R-log”の一節が、空間に残響を残していた。...

Napple
6月3日読了時間: 2分


交響詩篇1.9Lの魔法びん 第二楽章
2025/6/3 第二楽章:律人の旋律 記憶の下書き1 マスターがカウンターにそっと置いた、一冊のノート。表紙の端に、細く書かれた名前──彩音。 「昨日、彼女が置いていったんだ。何も言わずに。けど、誰かが読むことを、どこかで願ってるように見えたよ」...

Napple
6月3日読了時間: 3分


交響詩篇1.9Lの魔法びん 第一楽章
2025/6/3 第一楽章:彩音の旋律 声のない声 午後の陽射しが、アーチ窓の鎧戸をすり抜けて、床の上にゆらゆらと、古いレコードのような模様をつくっていた。彩音は、窓際の席に座っていた。いつもの席。いつものココア。いつもの沈黙。だけど今日は、なにかが違っていた。カウンター...

Napple
6月3日読了時間: 3分


交響詩篇1.9Lの魔法びん 序章
2025/6/3 序章:静けさに耳を澄ます者たち 喫茶店「1.9Lの魔法びん」。その名を口に出すと、ほんのり湯気が立ちのぼるような錯覚がある。扉の向こうには、時間が緩やかに降り積もっている。白熱電球、鎧戸のアーチ窓、柱時計。そして、いつもの席に、常連たちがいる。 ■...

Napple
6月3日読了時間: 3分
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