top of page
検索
執筆者の写真Napple

初めてのDeezer

更新日:2018年8月25日


2018年4月12日


ロスレスストリーミングDeezer HiFiを試す。


Deezer HiFi とは


「毎月1,960円でCD音質で聞けるストリーミングサービス。ハイレゾのストリーミングサービスが始まったのかと喜んだが、CDスペックのストリーミングでハイレゾではなかった。


ハイレゾの定義:JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)が発表:CD スペック(CD が採用している 44.1kHz /16bit 及び、DVD や DAT が採用するサンプリング周波数 48kHz /16bit )を上回るオーディオデータをハイレゾという。


目的:DeezerのFLACロスレスオーディオファイルと、Apple MusicのAACオーディオファイルの音質比較を行うこと。

方法:Mac用アプリDeezerV0.5.4.276をインストール、音質設定をHiFi1411kb/sへ設定、iTunesに同一アルバムがある9曲を交互に試聴する。楽曲はピアノ曲、男性ボーカル曲、女性ボーカル曲、オーケストラ曲、弦楽四重奏曲、サックス曲、クラリネット曲、ギター曲、トランペット曲を選曲した。選曲基準は比較を目的として、よく知っており、聴きたい曲を選んだ。またFFTWaveVer1.1(iPhoneXの波形解析アプリ)を使用し、全曲または同時間流した時の4312MIIの音を周波数分析したピーク値、平均値の画像を比較する。


Deezerの画面

Apple Music(iTunes)の画面

1曲目:キース・ジャレット:ケルン・コンサート

透明感のあるピアノソロ、キースジャレットの息づかいとピアノのタッチまで聞こえる美しい旋律。学生時代ジャズに開眼したのがこの曲だった。透明感といいDeezer、iTunesのどちらも甲乙付け難い。違いが分からない。(周波数特性:緑の波形は現在波形、赤はピーク値、紫は平均値)

Deezerの周波数特性

iTunesの周波数特性


2曲目:ビートルズ:イエスタデイ

ポールマッカートニーのボーカルがギーターの伴奏で始まり、途中からストリングスが合わさり盛り上げる。高校時代ビートルズを好きになったのはこの曲のおかげ。iTunesの方がおとなしく聴きやすい。

Deezerの周波数特性

iTunesの周波数特性


3曲目:テイラー・スイフト:Shake It Off

パンチの効いたドラムで始まる女性ボーカル。Deezerの方が派手めに聞こえる。iTunesの方が一音一音がくっきりしているかもしれない。

Deezerの周波数特性

iTunesの周波数特性


4曲目:スイス・ロマンド管弦楽団 & エルネスト・アンセルメ:牧神の午後への前奏曲

悲しげなフルートにハープとホルンが優しく語りかける。何かが起こりそうな予感に満ちたドラマチックな管弦楽曲。若干iTunesの方がノイズが目立つが、フルートの鳴りは気持ち良い。周波数特性の高域にずいぶん違いが見れる。

Deezerの周波数特性

iTunesの周波数特性


5曲目:パヴェル・ハス・カルテット:ドヴォルザークのアメリカ

ゆらゆらと揺れる波間を小舟が漕ぎ出して行く。さやさやと風がそよぎ、葦がなびく。驚いた水鳥が飛び立ち大空へ舞い上がる。そんな景色が見える弦楽四重奏曲。父が愛した曲。iTunesの方が粒だちが良い。メリハリがありドラマチックだ。これも周波数特性の高域に違いが見れる。

Deezerの周波数特性

iTunesの周波数特性


6曲目:ジョン・コルトレーン:ブルー・トレイン

サックスとドラムスが前奏を奏でトランペットが合わさる、サックスが鳴き始める。ベースとドラムスがリズムを刻む。オーディオ店でDALI、KEF、B&Wの聴き比べに使った曲。iTunesの方が大人しい感じがする。これも高域に差がはっきりしている。

Deezerの周波数特性

iTunesの周波数特性


7曲目:ジーン・マックフォルツ:I Can't Get Started

クラリネットのソロで始まりピアノが乗ってくる、叙情豊かな曲。管を吹く息が聞こえ臨場感がある。クラリネットの低音は腹に染み、ピアノの繊細な音はきらびやかに舞い上がる。真空管アンプで最初に聞いた曲。この曲はDeezerとiTunesでクラリネットの低音の響きがかなり違い、iTunesの方が腹にしみてくる。中域のレベルがiTunesの方が高い。

Deezerの周波数特性

iTunesの周波数特性


8曲目:サイモンとガーファンクル:アンジー

ポールサイモンのギターソロ、ダイナミックにリズミカルにコードが進行してゆく。ピッキングが始まると音はワイドに広がる。Deezerの方が乾いた音に感じる。iTunesは比べてねっとりしている。ちょっとこもった感じかもしれない。

Deezerの周波数特性

iTunesの周波数特性


9曲目:マイルス・デイビス:Générique (Du film « Ascenseur pour L'echafaud »)

悲しげなトランペット。ブラシとピアノがさざ波のように漂い、ベースがよろめきながら歩く人のようだ。この曲を聴きマイルスが好きになった。Deezerの方がクリアーに感じる。

Deezerの周波数特性

iTunesの周波数特性


総評

こうして耳を凝らして聞き比べ、目を凝らしてデータの差異を比較すると、少しだけ音の違いが分かるようになった気がする。Deezerの方がクリアーに聞こえる楽曲が多く感じる反面、iTunesの方がメリハリがあるように思う。周波数特性はかなりアバウトな測定なのであてにならないのだが、大雑把な傾向は見えてくる。1、2曲の比較では差がないように見えていたことも、サンプル数を増やすと、確かに違いがあるように見える。iTunesの方が中域が強調されているかもしれない。また楽曲によって音量が異なっている、音量の違いは結果周波数特性の振れも違ってくるはずだし、聞いた時の感じも異なってくる。音質を重視するとき、音量は重要なファクターだと分かる。少しでも良い音で聞こうとするなら、楽曲ごとに最適な音量がありそうだ。アプリの音量設定を最高に設定しても再生するとアプリによって、同じ曲の音量が異なるのは、アプリが自動調節を行なっているからだ。どういうアルゴリスムで調整しているか分からないが、AIが学習してコントロールしてくれるなら、今後の改善が期待できる。だがこれらのことは、聴き比べて初めて感じることで、単独で聞くとき、DeezerもiTunesも音楽を十分に楽しめる音質だと思う。


結論

違いがわかった所でどちらが良いかということだが、音としてはいずれも良い音で、こちらが優れていると指摘できない。CD音質を歌うDeezer(3500万曲月額1960円)だが曲数がApple Music(4500万曲月額817円)より少なく、月額は高い。またDeezerは現在のところ邦楽がほとんどなく、映画音楽も少ない。使い勝手は明らかにiTunesが良い。私には音質が優れているとはっきり聞き分けられないのだから、Deezerを利用するメリットは少ない。


懸案1

Deezerは曲を聴こうとした時にバッファリングに時間がかかるため、すぐに曲が始まらない。ただしPlayListを再生するときは、先読みをしているので1曲めだけ時間がかかり、2曲目からは、そうしたストレスは感じない。何れにしても我が家でもCD音質のFLACデータのストリーミングが利用できることは確認できた。Apple MusicがALACになっても問題はないだろう。ただせっかくApple Musicがロスレスになっても、さほど音質の違いはわからないのだろう。さらにDeezerを試聴しているときはSafariのアクセスが遅くなる。ロスレスのストリーミングを楽しむということは、通信に負荷がかかるので、同時にネットアクセスをしようとすると遅くなる可能性がある。通信環境も向上させる必要があるようだ。


懸案2

Deezerに関する記事を閲覧すると、明らかに音質が良いと書かれている。記事を書くぐらいだから悪くは書かないだろうが、自分の行なった実験結果に自信が持てなくなる。改めて自分のシステムの設定に誤りがないか、システムのスペックが足りないのではないか気になる。そのためにも第三者が構築した比較システムで、第三者と一緒に比較試聴して感想を聴きたい。


追記

こうすればよくなるかもしれない、という情報を元に実験を行い、自分なりの結果を得たことで、何もせずにああしたらどうだろう、こうしたらと思いあぐねていた時とは異なる実感を得た。これを自己満足というのだろうが、色々な実験は楽しかった。自分の耳の性能も何と無く分かった。1番の目的は、心地よく音楽を楽しみたいということであり、Apple Musicを音源として真空管アンプで聴く環境はまんざらではないと納得した。



閲覧数:222回1件のコメント

最新記事

すべて表示

1 comentario


Napple
Napple
02 oct 2018

高校時代に見た映画「高校教師」のセックスシーンを不潔だと感じ、その時のトランペットの音色そのものが不潔の象徴のように感じられた。以来トランペットの音色が嫌いな時代が続く。ジャズを聴くようになってもマイルスデイビスは聞けなかった。

社会人になり、ヘレンメリルを聴いた時、バックに流れるクリフォード・ブラウンの寂れたトランペットに引き込まれた。いいなと思った。しばらくして映画「死刑台のエレベーター」のトランペットになんとも言えない色気と哀愁を感じた。マイルスデイビスだった。ついにトランペットの呪縛は解け、その良さを楽しめるようになった。年齢を重ねる必要があったのだろう。

高校教師

  • ヴァレリオ・ズルリーニ監督

  • アラン・ドロン、ソニア・ペトロヴァ主演

  • 音楽マリオ・ナシンベーネ

  • トランペットはメナード・ファーガソン

改めて聴いてみると、なかなか、いいじゃないですか。

Me gusta
bottom of page