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執筆者の写真napple

棟方志功

更新日:5月24日

2023/2/24


 棟方志功は父が好きだった。父が模刻した釈迦十大弟子を見て好きになった。やはり彼も版画にした時に、彼独特の個性、感性、素晴らしく、彼の狂気を孕んだ容姿とは裏腹な菩薩のような絵が沁みてくる。棟方志功が作品を制作する鬼気迫る様子に圧倒され、この人好きだなと思ったのである。髪型なんて気にしない彼の姿はとても純粋で、狂気を纏った目には迫力があった。

 父は、年賀状を版画で制作することから始まり、次第に玄人はだしの作品を描くようになった。そんな中で棟方志功を模刻している。以下は模刻した作品の表書きである。

「私は棟方志功先生の人間性を愛する。そして、その作品を深く尊敬する。中でも「釈迦十大弟子」は心惹かれる作品である。墨の一色は仏従にふさわしい姿である。板木の縦横を一杯に駆使した非凡な表現法に魅せられ、その偉大な作品の心に少しでもふれたく模刻する。泰典」父のこの言葉は、私が模写する心と一致する。

 彼の絵は独特なラインで構成されている。一目で彼だとわかるラインだ。それは版画になった時に顕著に現れる。筆で書かれた絵は、鋭利さがちょっと削がれた感じだ。それを版に起こすと、彫刻刀の鋭利な板木を削ぐ勢いで、独特のラインが生まれるようだ。「釈迦十大弟子」は板木に収まる構図も面白いが、指の描写が目を惹く。そして目の形、鼻、口、頬のラインが独特の世界を作り、彫り残しのラインさえも絵になっている。


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