2023/2/15
荒俣宏との出会いは「帝都物語」だった。
私が出会った荒俣宏の作品。
1984年 図鑑の博物誌
1985年 帝都物語
1987年 世界大博物図鑑全5巻
本を読もうと思う動機の一つに、「登場人物の名前に」引っ掛かることがことがある。歴史上の人物だったり、どこかで聞き齧ったりした人が、その物語に出てくるらしい。たったそれだけでも興味が湧くところを、どうも今まで知っていたこととは違うような予感がすると余計に読んでみたくなる。たとえば「帝都物語」は平将門が明治末期から昭和の帝都に関わってくる。また渋沢栄一、幸田露伴、寺田寅彦、森鴎外、甘粕正彦、愛新覚羅溥儀、三島由紀夫などの著名人が登場し、式神、バビロン、陰陽、風水という言葉が気になって仕方がなかった。
「帝都物語」は荒俣宏の小説家デビュー作で、大8回日本SF大賞を受賞し、1988年には映画化もされた。世界大博物図鑑の資料として博物学の古書を購入し、1億4000万円の借金を背負うが、「帝都物語」により得た印税1億5000万円で返済する。博識で博物学に造詣が深い人物である。そうとは知らず、図節の美しさに惹かれ「世界大博物図鑑」を購入してから、荒俣宏著であることを知った。
失われた本が今までにいくつかある。失った本は記憶も定かでなく、ものもないため、思い出せないものがほとんどだが、「世界大博物図鑑」は覚えている。仕事でお付き合いがあった方に貸出し帰ってこなかった。その方はすでになくなってかなりの年月が経つから、もう戻ってくる見込みはない。
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