2019年12月20日「スターウォーズ・エピソード9・スカイウォーカーの夜明け」公開
スターウォーズは1977年に「新たなる希望」という副題で上映された。驚くべきことは公開1作目がエピソード4だということだった。ジョージ・ルーカスはすでにこの時点で9作で構成される壮大なスペースオペラを構想していた。銀河帝国と反乱軍の戦いの物語、王女と騎士の物語、剣と魔法の物語。様々な要素を持ったスターウォーズの極め付けは、ライトセイバーとフォースを操るジェダイの存在だろう。この存在が物語に深みを与え、ストーリーをブレさせることなく展開させ続けることができた。そして多様な宇宙人と言語やメカたち。アストロメク・ドロイドと呼ばれるロボットたちが魅力をプラスしてゆく。ストーリーが進むにつれ登場人物やメカが膨大な数に増加していった。ファンにとって思い入れの強い登場人物やメカが多すぎて、扱いが難しくなってゆく。物語を面白くするはずの新たな登場人物や新たなメカがなかなか受け入れられないことも起こってくる。銀河帝国と反乱軍の戦いを描いた4、5、6のカノン(正史)でそうした人物やメカたちの土台が作られた。ダース・ベイダー誕生の物語1、2、3のプリクエル(前日譚)で新たな登場人物、新たなメカが続々と登場した。そこには賛否の嵐が吹き荒れた。9作つくると言っていたルーカスもしんどくなったのだろう。2005年製作のエピソード3を最後にもう作らないと言い出した。銀河帝国と反乱軍の戦いのその後を描くはずだった7、8、9のシークエル(後日談)は、その頃すでに、たくさん小説やコミックで描かれ、スターウォーズワールドは手がつけられないくらい拡大していた。ダース・ベーダー誕生の3作は映像、アクション、音楽は素晴らしかったが、物語が辛くなることは初めからわかっていたし、実際に見ていて辛く、ルーカスがもうやめたというのも仕方なしと納得していた。
ところが2015年エピソード7が公開された、監督はLOST、MI3、スター・トレックで注目していたJJエイブラムスであった。小説で語られたその後のSWサーガは、レイアとハンが結婚した事だけは踏襲したが、そのほかの物語はすっぱり切り捨てて新しい物語を構築することにしたようだった。7、8と新たな登場人物や新たなメカ、新たな設定が登場してゆく。そうした中に、ハン、レイア、チューイ、ルークそしてミレニアムファルコン号を登場させ、ファンを喜ばせてくれるのだが、残念なことにファルコン号のアンテナを四角くしてしまう。新たな主人公レイの出生の秘密を明かさぬまま7、8と話は進み、映像は革新的かもしれないが、ルーカスのテイストが失われ、切羽詰まったところで交わされる軽妙な会話も影を潜めて重たい雰囲気になっていった。そして今回のエピソード9の完結篇。実は、突然再開しておいて、これで完結?という気持ちがある。そんな中で、公開前から山のような下馬評が報じられ、絶賛する人、酷評する人がいて、心穏やかではなかった。
面白かった。物語としてはよく練られていて、色々な謎を解き、解決してくれた。特筆すべきなのは、ファルコン号のアンテナが元の丸型になったこと。新しい登場人物はなくはないが、おおーこの人も出てきた、という喜びがあるものの、誰だこいつはというのはいなくて、メカもエピソード4、5、6に登場した懐かしメカばかりでほっとする。物語の展開に重きを置いたのだろう。レイの出生の秘密はその手があったかと納得さえした。そして公開1作目のリフレインのように、新たなる希望を託される。何か今一つ物足りない感があるのだがそれがなんだかまだわからない。とにかくスターウォーズサーガは今日完結した。
まだ酔い止まぬスターウォーズ完結編の余韻に浸りながら。また新しいスターウォーズがきっと誕生するだろう。
2020/4/18
スターウォーズ・エピソード9「スカイウォーカーの夜明け」を堪能した。圧倒的に不利な状況から奇跡的に勝利を収める物語は正史・前日譚の構成を踏襲し、あちらこちらで帝国艦隊が墜落する大団円は、エピソード6のエンディングを彷彿とさせる。初見で感じたモヤモヤの原因は、正史の帝国軍の圧倒的な凶悪さを醸し出すことができず、やさぐれ集団になってしまったことや。好演だったレンだが、その存在自体の説得力が欠けていたこと。その他の新しい登場人物も魅力が描ききれず、殊にフィンは出番が多いくせに、不要に思えてしまう残念な存在だったことや。結局パルパティーンが登場したことで、新しいサーガとしての魅力は描けなかったこと。などなど数え上げるといくらでも出てくるのだが、それでも尚、大いに楽しめる作品だった。
物語を8枚のイメージに描いた。振り返るとシリーズの9作品、アンソロジー2作品、単発で描いた作品などで100枚近いイメージを描いている。ツールにもだいぶ慣れ、描くのが楽しい。
https://napple7.wixsite.com/favoritework/star-wars
2020/1/10
1991年ダークホース・コミックスで展開されたコミックス「ダーク・エンパイア」は、クローンとして復活を果たしたパルパティーンが残党を率いて銀河に再び襲いかかるという展開で、惑星を破壊する兵器を搭載したエクリプス級ドレッドノートが出てきたり、皇帝を殺せば殺した相手が皇帝に乗っ取られる。エピソード9はこの「ダーク・エンパイア」の要素が盛り込まれていた。
2019/12/25
「スカイウォーカー・サーガ」は本作をもって完結するが、今後も『スター・ウォーズ』は初のドラマ作品「マンダロリアン」のほか、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)の前日譚ドラマ、ユアン・マクレガーによるオビ=ワン・ケノービの単独ドラマ、そして『最後のジェダイ』(2017)ライアン・ジョンソン監督による新たな映画3部作、マーベル・スタジオ社長ケヴィン・ファイギが手がける新作映画が待機中。
2019/12/21
早々とAppleMusicでStar Wars:The Rise of Skywalker(Original Motion Picture Soundtrack)を聴くことができる。昨晩12/20エピソード9公開初日に、地上波ではスター・ウォーズ/エピソード8・最後のジェダイがノーカットで放送された。ありがたや。