1976/10/30
初めて本格的に雪の付いた山。中房温泉から槍ヶ岳に向かうコースを表銀座という。下界はまだ秋だが、標高を増すごとに季節は冬が深くなり、真っ白な雷鳥が迎えてくれる。雷鳥は知ってか知らずか、登山者が進む先へ先へまるで道案内するように逃げてゆく。子連れを見かけることもあった。へばっていても雷鳥が現れると、元気が出た。冬用テントにダブルヤッケやスパッツを付けての初めての山行きだ。先輩はピッケルを持っているが1年生はまだ持てない。稜線に出ると北アルプスの山々が見渡せる。すぐそこには一月ほど前に登った穂高が見える。登ったことがある山を近くの山から見る時、見えない沢筋までが思い出され感慨深いものがある。周りにはまだ踏んだことのない山々がそそり立っている。これからどのピークに立つことができるだろうと思いを馳せる。燕の真っ白なピークに立ち真っ青な空を仰ぐと、空に落ちてゆくような気がした。
ルート D-party
1976/10/30 有明駅→中房温泉△
1976/10/31 中房温泉△→燕山荘→燕岳→大天井△
1976/11/1 大天井△→常念小屋→一ノ沢小屋
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