堂満岳は比良屈指の孤峰だ。冬季だからこそ行けるルートがある。当然傾斜はきつい。足を痙攣させながら、そぶりも見せずに後輩の前をラッセルする。どれほどトレーニングを積んでも、足が冷えると痙攣した。温まれば痙攣は治るのだが、雪中行動はどうしても冷えやすい。動き続ければいいけれど、上りのラッセル（雪かき）ほどきついものはない。人の後についてさえつらいことを、先頭を切るとなるとなおさらだ。ワカンをつけて雪深い斜面に踏み込み、膝で雪を押し固めるようにして進む。踏み抜くとブッシュに足を取られ身動きできなくなる。後輩の様子を見ながら、痙攣する足を引きずって先頭を進み、振り返って「大丈夫か？」と笑顔で後輩に声をかける。

湖西線比良駅→イン谷口△→堂満岳→金糞峠△→中峠→ワサビ峠→武奈岳→八雲ヶ原△→カモシカ道→イン谷口(Bparty)