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006 北アルプス 夏合宿1976
1976年7月16日金曜日
初日に転んで即日現地本部の上高地に入った。黒部ダムから立山に向かう下りはガレていた。同輩が滑って尻餅をつくので、尻餅をつかないよう少し前かがみになりすぎた。まだ行動を開始したばかりで、身体も慣れておらず、不慣れなキスリングは予想以上に重かった。ちょっとつまづき前のめりにこけた。こけたところにブリキがあった。眉間を切り鮮血が吹き出した。3針縫う程度の軽傷だったが、頭部の出血は派手で、オブザーバーの先輩に付き添われて下山し、上高地の現地本部入りとなった。両親にも随分心配をかけた。この事故のおかげで多くを学んだ。その後尻餅をつくことはあっても、二度と前のめりにこけるようなことはなかったし、初日から下るルートは避けるようになった。1週間安静を言い渡されテントの中で寝て過ごした。後半、焼岳大正池ピストン、西穂高岳ピストンをした。(ピストンとは軽装で目的地を往復すること)西穂高のピークで雷雲に包まれ岩肌に這いつくばって通り過ぎるのを待った。周りは異様な光が渦巻き、生きた心地がしなかった。そうこうするうちに厳しい山行を乗り越えた他のパーティが現地本部に集結する。黒々と日に焼け目と歯ばかりが白い同輩たちの目つきが変わっていた。現地本部で呑気に時を過ごしていたことにようやく気付いた。
夏合宿の前半先輩にタバコを無理やり進められ、後半に自分からタバコを乞うようになる。その頃には先輩も在庫が減りタダではくれなくなる。こうして山を降りる頃にはスモーカーになっていた。そういえばこの頃自動販売機にお茶の缶が並んだ。まだこの頃はお茶をお金を出して買うようになるとは思いもしなかった。
黒部ダム→上高地(Aparty→Dparty)
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